ロードバイクとタンパク質の関係|摂取量と意識すべきポイントを解説

「筋肉を作るためにはタンパク質が大切!」ってセリフ、一度は聞いたことがあると思います。

実際にトレーニング前後にプロテイン、BCAAを飲んでいるという人も多いはず。

しかし、プロテインというと、ボディビルダーのように体を大きくしたい人が飲むもの

そのようなイメージを持っていませんか?

体を重くしたくないし、タンパク質は取らない方がいい?

このようなサイクリストの疑問にお答えします。

結論をいうと、《筋肉を大きくしたい人以外でも、タンパク質は絶対に摂るべきです!》

活動量が多い成人男性ならば、1日の摂取量の目安は100g以上といわれます。

この数値の根拠や、サイクリストにタンパク質が必要な理由について、順番に解説していきます。

この記事でわかること
  • サイクリストに必要なタンパク質の摂取量
  • タンパク質の役割
  • 正しい摂り方(量とタイミング)
目次

1日に必要なタンパク質はどれぐらい?

現代人に不足しがちなタンパク質。

厚生労働省が2020年に「日本人の食事摂取基準」を発表しました。

これは性別や年齢ごとに、1日のタンパク質の目標量を示したものです。

厚生労働省が推奨するタンパク質摂取量

引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」123頁

多くのサイクリストに当てはまる、18~49歳の活動レベルⅢの範囲を見てみましょう。

タンパク質の目標量は99~153gとなっています。

総務省が2018年に出した統計から、
26〜39歳の男性の平均体重は69.9kgです。

一般的に筋肥大には
1日に体重1kgあたり1.4〜2.0gが目安とされています。

平均体重69.9kg×1.4〜2.0g
約97〜140g

厚労省の発表は、この数字を目安にしているのかも知れませんね。

かなり幅がありますが、体重、活動量、タンパク質の処理能力に個人差を加味した数値と思われます。

サイクリストには1日 100gのタンパク質が必要

ロードバイクは高強度かつ、長時間におよぶ運動です。

活動レベルは非常に高いので、厚労省も示す通り、 100g以上はタンパク質を摂取すべきでしょう。

筋肉が大きくなるかどうかは運動強度、すなわち競技の内容によるところが大きいです。

ロードバイクの特性上、よほどスプリント練習ばかりしない限り、筋肉が大きくなる作用は微々たるものです。

タンパク質の役割をおさらい

タンパク質は糖質、脂質と並ぶ3大栄養素の1つ。

そもそもタンパク質の役割ってなんだっけ?

よく大切って聞くけど、どんな役割か聞かれるとイマイチ、ピンとこないと思います。

まずは、タンパク質が体にもたらす効果について、おさらいしていきましょう。

筋肉の疲労回復

タンパク質の最大の役割は「体を作ること」です。

筋肉をはじめ、骨や髪の毛、皮膚、内臓などを健康に保つための材料となります。

特に筋トレなどで回復するとき、『超回復』という現象が起こります。

筋肉の分解と回復の曲線

図の曲線のように、トレーニングによって傷ついた筋肉は、1度パフォーマスが下がります。

その後2〜3日かけて、元の筋力よりも強い状態にまで回復するのです。

タンパク質が不足すると、筋肉を維持できず、むしろ落ちてしまいます。

疲労回復に大切な『BCAA』

人間が自分で作り出すことができず、食事から摂取しないといけないタンパク質を「必須アミノ酸」といいます。

必須アミノ酸のなかでも、特に筋肉の修復や増量に重要な役割を果たすのが『BCAA』です。

BCAAとは?
バリン・ロイシン・イソロイシンの3種類の必須アミノ酸の総称。
運動に大切な栄養素なので、これらを多く含むプロテインやサプリメントが販売されている。

ロードバイクに長時間乗った後は、筋肉の分解が進んでいます。

BCAAをしっかりと取り入れて、効率的に筋肉を修復しましょう。

ロードバイクにタンパク質が必要な理由

一般的にタンパク質が大切とされる理由について、述べてきました。

では、サイクリストにとってタンパク質が大切である理由について解説していきます。

筋肉を落とさないことが1番の目的

いろいろな役割を持つタンパク質ですが、やはりサイクリストには筋肉の回復のために必要です

人の体・筋肉を作っているタンパク質には寿命があって、常に分解と合成を繰り返しています。

特に筋トレやスポーツなど、激しい運動をすれば筋肉を分解する作用が強くなります。

ロードバイクは他のスポーツに比べて、エネルギーの消費量がとても多いです。

そのため、筋肉の分解も、かなり進みやすいと考えられます。

たくさん分解された筋肉を再び合成し、バランスを保つためにも、意識してタンパク質を摂らなければいけません。

エネルギー源の糖質も大切

そもそも筋肉の分解を最小限にすれば、必要なタンパク質の量も少なくできます

そのために、筋肉を動かすエネルギーの「糖質」をしっかりと摂りましょう。

ロードバイクは3時間以上も動き続ける、特殊なスポーツです。

これだけ長時間動き続けると、もともと体に蓄えられていたエネルギーでは到底足りません。

すると、不足したエネルギーを補うために、体は筋肉を分解し始めるのです。

エネルギー不足を起こさないために、ロードバイクでは走りながらも糖質を補給します。

それでも、トレーニングの後半には糖質不足になりがちです。

せっかく激しい運動をして体を鍛えているのに、筋肉が痩せ細ってしまうのは嫌ですよね。

糖質を多く含むお米、パン、麺類、フルーツなどをしっかり食べましょう!

体重を落としてくてもタンパク質は摂るべし!

ヒルクライムを速くなりたいから、なるべく体重を軽くしたい!

上り坂が好きなローディの中には、このように考える方もおられるでしょう。

もちろん、体重が減った分だけ、坂道を登る負荷も少なくなります。

しかし、パワーを発揮する筋肉が減ってしまうと、むしろ登りは苦しくなります。

細くてもパワーのある筋肉を作るためにも、ヒルクライマーこそタンパク質を積極的に摂るようにしましょう

糖質とタンパク質はバランス良く!

タンパク質の過剰摂取には注意

不足しがちなタンパク質ですが、過剰摂取も良くありません。

特に、プロテインを飲んでいる人は、1度に大量に摂りすぎる場合もあるので、注意しましょう。

タンパク質の摂りすぎには、以下のようなリスクがあります。

  • 太る
  • 肝臓、腎臓に負担がかかる
  • 骨量の低下、骨粗鬆症のリスクが高くなる

肥満のリスク

糖質や脂質に比べるとそれほどでもありませんが、タンパク質の摂りすぎも肥満の元です。

特に、タンパク質を取ろうとして、脂身の多いお肉を食べすぎたりするのは良くありません。

たくさん動くから、動いたから食べる。

その意識を持っておきましょう。

肝臓・腎臓への負担が増える

タンパク質を分解する過程で、有害な物質を肝臓で処理します。

その後、有害物質は腎臓で濾過されて、尿として排泄する。

この時にタンパク質の量が多すぎると、肝臓と腎臓に負担がかかり、体のコンディション不良にも繋がります

腎臓が弱ると透析のリスクも

腎臓は体の毒素を外に出すために、常に働き続けています。

しかし、あまりに酷使すると、いずれ弱まって働けなくなるのです。

濾過できなくなった毒素は排泄されることなく、血液中を流れ続けます。

すると、病院で人工透析してもらい、血液をきれいにしなければいけません。

その回数は、週に3回。

しかも透析の後は疲労感が強く、とてもスポーツなどする気になりません

そうなると生活の質(QOL)が低くなるのは明白です。

健康のためにも、バランス良く摂取するように心がけましょう。

骨量の減少

タンパク質を過剰に摂取すると、体内のカルシウムの排泄が早くなります

その結果、骨密度が低下して、骨粗鬆症のリスクを高めることになるのです。

無駄にしないタンパク質の摂り方

最後に、せっかく食べたタンパク質が吸収されず、そのまま出ていっては無駄になってしまいます。

そうならないために、摂るべき正しい量・タイミングをご説明します。

1回の食事で摂るべき量の目安

ロードバイクに乗る人は体重1kg×1.4〜2.0g/日がタンパク質摂取の目安でしたよね。

これも無理して一気に食べすぎると、腎臓に負荷がかかってしまいます。

ズバリ目安として、1回の食事で25g前後のタンパク質を摂るように心がけましょう。

1度に30gを超える量のタンパク質は、吸収しきれず排泄されてしまいます

内臓への負担、無駄な出費を減らすためにも、程々の摂取が好ましいです。

NGなタイミングを避ける

トレーニング後1時間以内がタンパク質摂取のゴールデンタイム。

このような話を聞いたことがあると思います。

逆に、タンパク質を摂らない方がいい時間帯はある?

実は、運動の最中・運動直後はタンパク質の摂取を避けた方がいいです

タンパク質は他の栄養素に比べて、消化・吸収にもエネルギーを使います。

運動中はパフォーマンスを維持するために、筋肉にエネルギーを回したいですよね。

また、意外かも知れませんが、運動終了の直後も摂らない方がいいです。

トレーニング直後の10分ぐらいは筋肉に血流が集中していて、胃腸に血流が少ない状態になっています。

そんな時、吸収にエネルギーを使うタンパク質は、効率の良く吸収することができません。

運動後15〜60分に摂取するのが最も効率的といえますね。

運動前・後・寝る前にはタンパク質を摂る

運動前

運動前にタンパク質を摂ることで、血中アミノ酸濃度が高まります。

すると、糖質によるエネルギーが不足したとき、筋肉を分解する作用が少し軽減できるのです

運動後(15〜60分後)

運動後1時間以内は、タンパク質摂取のゴールデンタイムです。

疲れている時だと思いますが、しっかりと摂取しましょう。

寝る前

寝ているとき、傷ついた筋肉を修復する力がフル活用されます。

その時にタンパク質が不足していると、筋肉が傷ついたままになってしまいます。

寝る前にも軽く摂っておきましょう。

まとめ

ロードバイクとタンパク質の関係についてお話ししてきました。

この記事のまとめ
  • ロードバイクでは大量のエネルギーが必要で、筋肉もたくさん分解される
  • 分解された筋肉を修復するためにも、タンパク質を摂取すべき
  • 1日に必要な量は体重1kg×1.4〜2.0g
  • 1度の食事では25g前後を目安に取り入れる
  • 過剰摂取は肥満、腎不全、骨粗鬆症のリスクを高める

ロードバイクでゴリマッチョになろうとする人は、いないと思います。
(そもそも目的と手段が一致していませんし・・・)

ですが、今より速く走れるようになりたい人は多いはず。

そのためにも筋肉が強靭であることは大切な要素で、筋肉を作るタンパク質も必要です。

摂取する量やタイミングについて、正しい知識を持ち、健康的に、効率良くトレーニングを積んでいただければ嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

整形外科クリニックで働く、7年目の理学療法士です。日本の健康寿命を延ばせないかと模索するなか、趣味のロードバイクが一助になると思い立ち、情報発信のためにブログを開設。
ロードバイクと健康関連全般について発信していますので、ぜひ読んでいってください。

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