車のすぐ横を生身で走るロードバイク。
少し力を込めてペダルを回せば、30㎞/h程のスピードを出すことも可能です。
人力だけで高速で走る爽快さから、日本でも趣味として楽しむ人が増加しています。
一方で、車との衝突事故に遭えば軽傷では済みません。
ロードバイクは高速で車道を走る分、身の危険も感じる。。
巷ではロードバイク乗りはマナーが悪く、交通の妨げになっていると、ドライバーから目の敵にされることが多いのも事実。
事故無く、健康にロードバイクを続けるためにも、安全な走り方やマナーについては知っておくべきでしょう。
本記事では、ドライバーに邪魔だと思われない走り方について解説します。
以下の疑問を持つサイクリストに刺さる記事です。
- ドライバーから見た危険なサイクリスト
- サイクリストが守るべき交通ルールは何か
- 事故が多いのはどんなシチュエーションなのか
記事の信頼性は以下の通り。
- 筆者はロードバイク歴5年で無事故
- 警視庁のデータを交えながら、事故が起こりやすいシーンを解説
- 自動車も運転するため、ドライバー視点で見た危険なロードバイクの走り方も心得ている
筆者が危ないと感じた実体験も踏まえた内容になっていますので、ぜひ読んでいってください。
ドライバーのストレスにならない走り方8つ

まず前提として、ドライバーから邪魔だと思われない走り方をすることが大切になります。
詳しくは後述しますが、自転車事故で死亡・重傷に至る相手当事者は多くが自動車です。
ドライバーがイライラする走り方は、サイクリストに対して攻撃的な感情を抱き、煽り運転や事故に繋がる原因になり得ます。
ドライバーにストレスを与えないために、サイクリストが心掛けておくべきことは以下の8つです。
①信号のたびに自動車を追い抜かない

信号が数百メートルごとに続いてる道路でのことです。
一度は自動車が追い越していったものの、前方の信号で自動車が止まっていると、ロードバイクが追い付くことも多々あります。
その都度、停車中の自動車を追い抜かしてロードバイクが前に出てくると、再び追い越さなければいけません。
追い越しはドライバーにとって神経を使うので、狭い道路ではさらにストレスを与えてしまいます。
- 対向車が多い
- 片側1車線で道幅が狭い
上記のような道路では、信号待ちの車を追い越さずに、ドライバーから視認できる距離を保って後方に付くようにしましょう。
②歩道と車道の移動は少なく慎重に

ロードバイクは軽車両に分類されるので、車道を走るのが基本になります。
しかし、道路状況などによりやむを得ない場合は徐行することを前提に、歩道に入ることが許されています。
マナーが悪いサイクリストは信号待ちの車で前方が遮られている時に、都合よく歩道に侵入して前方に躍り出て、信号を超えた後に歩道から車道に飛び出してくることがあります。
それだけでなく、車道に出る際に後方をろくに確認しないサイクリストがいるから驚きです。
感覚的に自動車がまだ来てないから、安全と思っているのでしょうか...?
車道に出る時は、少し車道側にふくらむ軌道になるため、自動車が迫っていたら接触する可能性も高まります。
サイクリストが後方を目視すれば、ドライバーは車道に出たいという意思表示と受け取って、注意することも可能です。
サイクリスト自身が安全確認することと、ドライバーに注意を促す意味でも後方を目視で確認したうえで、慎重に車道に出るようにしましょう。
③道路の左端を走る
道路交通法の条文によると、自転車の通行場所は以下のように規定されています。
道路では左側を通行しなければならず、特に、車両通行帯のない道路では、道路の左側端を通行しなければいけません。
また、車両通行帯のある道路では、原則として一番左側の車両通行帯を通行しなければいけません。
加えて、ロードバイクはいくら速く走れると言っても30㎞/h程なので、自動車では徐行しているレベルです。
片側1車線の道路で中央付近を走っていると追い越しができず、後方に自動車の渋滞を作ってしまいます。
道路の左端は荒れていて、走りづらいことも多々あるので、路面が綺麗な中央付近を走りたい気持ちもわかります。
後方の状況は車の音で判断して、近づいてきたら左に寄るよ
このような考えで中央付近を走るサイクリストもいますが、最近はハイブリット車も増えて音で判断するのは困難。
すぐ後ろに来ても気づかないことだってあります。
よほどパンクしそうなぐらいに路面が荒れていなければ、左端によって走りましょう。
④一時停止を守る

道路標識などにより一時停止すべきとされている時は、ロードバイクも一時停止が義務付けられています。
自転車側も止まると思って進んでいたら、一時停止をせずに飛び出してくるとドライバーは驚いてしまい、マナーの悪いサイクリストだと感じることになります。
左右の安全が遠方から確認できたからと無視せず、しっかりと一時停止しましょう。
⑤二段階右折する
先述の通り、自転車は左側を走る義務があります。
これは交差点で右折する時にも適応され、常に道路の左端にいなければなりません。
ではどうやって右折するのか。
そう、二段階右折ですね。
二段階右折の方法
- 右折したい交差点で、まず直進
- 横断した先の停止線で右側に向きを変えて停車
- 信号が青になったら直進
なかなか面倒だと感じることも理解しています。
それでも、右折時の衝突は全事故の中でも大きな割合を占めるので、事故防止のための大切な行動です。
自転車が二段階右折するべきだという事は、教習所でも教わるので、多くのドライバーは知っています。
それを我がもの顔で自動車と同じように右折する姿を見たら、ルールを守らないサイクリストだと思われるでしょう。
自動車との接触事故が起こりやすいシチュエーションだけに、より安全に右折していただきたいです。
⑥並走しない
交通量が多く、車がすぐ近くを通り抜けるような道路で並走をする人はさすがにいません。
しかし、開けた道ではサイクル仲間と談笑をしながら、ゆったり走る集団を時折見受けます。
後方からの自動車に気が付いたらサッと一列に戻ってくれますが、以下の要因で気付くのが遅れることも少なくありません。
- 風の音
- 談笑に夢中
- ハイブリット車は静かに迫ってくる
並走によって自動車の円滑な走行を妨げてしまうと、ドライバーにとっては大きなストレスを与えます。
仲間とのコミュニケーションを取るときは
- インカムを使う
- 休憩の時まで話題を寝かせておく
- 一列で走りながら少し大きな声で会話する
このようにして並走は控えるようにしましょう。
⑦信号を守る

言うまでもなく、信号無視は交通ルール違反です。
でもロードバイクだと
良いスピードで走れているから止まりたくない!
というシーンが多々あります。
そんなときに見通しが良い交差点で歩行者、自動車がいないことが確認できると
止まらずに行っちゃおうかな...
と、悪魔のささやきが聞こえてきそう。
その気持ちには強く共感しますが、そういった行いは誰かが見ていて、ロードバイクは信号を守らないというレッテルを張られます。
たとえ気持ちよくスピードに乗っていてもちゃんと停車して、そこからのリスタートで再び速度を上げるのも練習なんだと、マインドを変えてみてはいかがでしょうか。
⑧大きな集団は分割する

集団でサイクリングをするときのこと。
3~4人が縦一列に並んで走る分にはまだいいものの、6~7人の大所帯が一列で走っていると結構な長さになります。
もちろん列が長いほど後続の自動車は追い越しに時間を要するので、対向車線の空き具合によってはなかなか追い越せず、ストレスが溜まるでしょう。
同じグループでも大人数で一体になって走らず、2~4人の集団で2つ以上に分けるようにしましょう。
一緒に走れないじゃないかと思うかもしれませんが、合流地点を設けておけば問題ありません。
なるべく事故のリスクを減らして、安全なサイクリングを楽しみましょう。
ロードバイクは邪魔である

サイクリストとしてはショックな言葉ですが、道路を走るロードバイクを邪魔だと思っているドライバーは少なくありません。
日本の道路は自転車が走るスペースが確保されていない所が多く、車社会であることも相まって自転車が車道を走ると通行を滞らせてしまいます。
さらにロードバイクは多くの場合、趣味として楽しむものなので、生活のためにやむを得ないという事もありません。
リアルな声に耳を傾ける
- 知人の声
そこそこの速度で走ってるし、追い越すのは正直面倒だよね
左端を走っているならまだしも、中央に寄りすぎてるのは心底迷惑
- ネットの声
-
Yahoo!知恵袋で「ロードバイク マナー」と検索すると、交通ルール違反をするサイクリストが数多く報告されています。
そういったページのビュー数が何千と伸びているのも事実。
全ての人がロードバイクを目の敵にしているわけではありません。
それでも批判の声は大きく、悪い噂は広がりやすいので、ある程度良くない印象を持たれていると認識しましょう。
そのうえでマナーを守って走ることを心がけて、いつかそのようなレッテルが取れていくことを願っています。
事故原因のデータ

ロードバイクに関連する交通ルール、やりがちな良くない走り方、ロードバイクに対する批判的な声についてピックアップしてきました。
実際に自転車で事故が起きるのは、どのようなシチュエーションなのか知っておくのも大切です。
ここからは自転車事故のデータに関して触れていきましょう。
※警視庁・交通局が公表しているデータを基にしています。
※全自転車事故であり、ロードバイク単体のデータではありません。
事故件数は減少・割合は増加
令和2年までの自転車事故に関するデータは以下の通り。

直近10年間の統計を読み解くと、以下の傾向があります。
- 自転車事故件数そのものは減少傾向である一方、全事故に占める自転車事故の割合は平成28年以降は増加傾向
- 令和2年中の自転車関連事故の件数は67,673件(前年比12,800件減少)
自動車との出会いがしらに要注意
続いて自転車関連の事故の特徴です。
平成28年~令和2年の5年間で自転車が死亡・重傷に関わったデータが以下の通り。

グラフの特徴と交通局の発表をまとめると
- 自転車側が死亡・重傷に至った事故の相手は77%が自動車で最多
- 自転車と自動車の事故のうち、出会いがしら衝突が55%で最多
- 右左折時の衝突も合わせると、全事故の81%を占める
- 出会いがしらのうち、自転車側の安全不確認や一時不停止などの違反も多く見受けられる
交通局より引用
以上から自転車が重大な事故を回避するためには出会いがしら・右左折時に特に注する必要があります。
そのためには一時停止を守って左右を確認、巻き込まれ防止で二段階右折をする。
これらは意識しましょう。
危険を感じた実体験

偉そうにロードバイクはしっかりルールを守るべきだなどと説いてきましたが、ここからは実際に僕自身が走っていて危ないと感じた瞬間をお伝えしていきます。
幸い、いずれも事故には至っていませんが、皆さんのサイクリングで注意をする手助けになれば幸いです。
一時不停止でヒヤリ
田舎道にて、自分が一時停止すべき十字の交差点に差し掛ったときです。
かなり交通量の少ない道だったので、まあ今日も自動車は通らないだろうと思っていました。
スピードは落としていましたが、停車はせずに左右確認ができる場所まで進み続けます。
すると優先車線である右側から自動車が迫っていて、気づいてすぐに急ブレーキ。
交差点に進入する前だったので、自動車との接触は回避できました。
ヒヤッとする場面で、ドライバーの方もびっくりさせてしまったと思いますので、申し訳なかったです。
まさにロードバイク側の一時不停止で、出会いがしら衝突を起こしかけたシーンとなりました。
いつも通っていて、いつも大丈夫なところだからと思い込まず、安全確認をしようと心んい刻んだ瞬間です。
トラックが多い道は怖い
平日の昼間、とある片側1車線のトラックが多く走る県道をソロで走っていたとき。
沿道は自転車が走れる程度の幅がありましたが、トラック同士がすれ違う時にはやや左寄りを走るので、自分のすぐ右をトラックは追い越していきます。
普通車と違って大きい分、迫力があって生身では恐怖を感じました。
トラックは車体の長さから追い越しまでに時間がかかるうえ、風の巻き込む力も強いので、追い越された後は風で少し車体が横に煽られます。
ルートの構築上、そういった道路を通る必要があることもあると思います。
それでも、複数のルートが選択可能なときはなるべく狭く、トラックが多い道は避けて通ることをおススメします。
風の音で後方に気づけない
高速で走るロードバイクでは、身体に当たる風も強くなります。
そうなると風の音が耳元で鳴り響き、周囲の音がかき消され、後方から接近する自動車に気付けないシーンがありました。
もちろん、車道の左端を走っていれば自動車が追い抜いてくれますが、少し路面が荒れていたこともあって中央寄りになっていました。
すると知らぬ間に自分のすぐ後ろまで自動車が迫っていました。
後方確認を適宜していたので、気づくことができましたが、迷惑をかけてしまっていたことには変わりありません。
左寄りに走る意識と、後方の確認は怠らないようにしましょう。
狭い道で渋滞を作ってしまう
特にアップダウンの多い道路で体験することが多かったですが、自分の走行速度が遅くて自動車の渋滞を作ってしまうこともありました。
少し開けた道にでたので前を譲りましたが、イライラした後続車が狭い道でも抜かそうとしてきたら接触の危険があるなと感じました。
登り坂ではいくら飛ばそうとしても、体力的に限界があります。
後続車が追い越せそうな広さになったら、少し足を着いてでも先に行ってもらう方がお互いに利があるでしょう。
まとめ
ロードバイクでのサイクリング中に自動車の運転手をイライラさせがちなルール・マナー違反と事故が起こりやすいシーンについて解説してきました。
- 信号のたびに自動車を追い抜かない
- 歩道と車道の移動は少なく慎重に
- 道路の左端を走る
- 一時停止を守る
- 二段階右折をする
- 並走しない
- 信号を守る
- 大きな集団は分割する
近年の健康志向の高まりからロードバイクを趣味とする人も増えています。
すると、マナーが良くない人の数も増えるので、一般の方に不快感を与えてしまうサイクリストが目につくことも増えます。
「ロードバイク=マナーが悪い」
そう思われてはロードバイクの路上での走りづらさが増すばかりか、事故の確率も高まって健康・娯楽のためのロードバイクで怪我をする人も増えてしまいます。
事故は以下のシーンで多く発生しています。
- 出会いがしら(自転車の一時不停止、信号無視)
- 右左折人巻き込み
僕の知る限り、ほとんどのロードバイクはマナー良く走ってくれています。
まだまだロードバイク初心者でマナーも分からない人は、決して悪い癖を付けずに正しいルールを意識して、みんなが心地よく走れる道路を守っていきましょう。
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