ロードバイクで体力がついてくると、だんだんと走る距離も長くなります。
始めたてのときは考えられなかった、100km以上も許容範囲になってくることでしょう。
それにあわせて、ライド時間もどんどん延びてきます。
長時間走り続けるためには、エネルギー補給が必須です。
しかし、実際にロングライドをしてみると、補給の仕方に悩む方もおられます。

補給食は大切だけど、どのタイミングで食べるといいの?
このような疑問にお答えしていきます。
- ロングライドに必要なエネルギー量
- 1時間に1回は補給すべき理由
- 走行時間と用意する補給食の形態
エネルギー量や補給の考えを知っておくことは、ロングライドを乗り切るために超重要です。
ぜひ、今後のサイクリングに役立つ知識を身に着けてください。
ロングライドに必要なエネルギー総量
これは僕が以前、ビワイチ(北湖)をしたときのサイコンの記録です。


ライドは6時間45分ほどで、消費カロリーは驚異の4460kcal。
体格、ライドの強度で変わってきますが、およその目安になると思います。
成人男性の平均的な消費カロリーは、1日で2500kcalほど。
普段通りの食事では、まったく足りないと想像できますね。
1時間ごとのカロリー消費
ロードバイクでゆったり走ると、1時間で500kcalを消費します。
レースやヒルクライムメインのようなハードな走り方だと、1時間に1000kcalも消費するそう。
他のスポーツと比べても、エネルギー消費はとても激しいです。
したがって、走りながらでも補給をしないと、エネルギー切れを起こすのです。
グリコーゲンの貯蔵量
人は普段からエネルギーを蓄えておいて、多少食べずとも動ける準備をしています。
普段、みなさんが食べた糖質は「グリコーゲン」となって、肝臓と筋肉でスタンバイしているのです。
運動を始めたときは、蓄えられたグリコーゲンを消費していきます。
ゆったり走っても1時間に500kcalを消費するので、3時間以上になれば、蓄えられていたエネルギーでは足りません。
ポタリング想定でも、
500kcal×3時間=1500kcal
貯蔵されているエネルギーは1500〜2000kcalです。
つまり、2時間前後のサイクリングなら補給は不要ですが、3時間を超えるならば補給は必須といえます。
もし、補給をせずエネルギーが尽きてしまうと、ハンガーノック状態になって動けなくなるでしょう。
サイクリストの恐怖ハンガーノック
ハンガーノックとは、体中のエネルギーを使い果たして、低血糖になった状態です。
- 頭痛
- めまい
- 吐き気
- 手足の痺れ
- 意識の薄れ
- 強烈な疲労感
- 寒気、冷や汗
何かを食べて血糖値が上がってくると、症状は改善してきます。
しかし、万全の状態で走ることはできず、かなり苦しい思いで走らなければいけません。
- 朝食を抜く
- 補給食を持たない
- 空腹を感じてから補給する
- 食欲がないからと、補給をしない
これらはハンガーノックを起こす原因になります。
予防策として、以下の2点を心がけてください。
- ロングライド前の朝食はしっかり食べる
- 空腹を感じる前からこまめに補給する
効果的な補給のタイミング


ハンガーノックの対策を紹介しました。
しかし、あくまで最悪の症状を防ぐ手段にすぎません。
高いパフォーマンスを維持するために、補給のベストタイミングを知っておきましょう。
1時間に1回は補給する
空腹を感じてからの補給では、手遅れです。
人は胃に物を入れてから、吸収までに時間がかかります。
食べてからエネルギーになるまでのタイムラグを考えて、余裕を持った補給が大切です。
目安は250kcal
ゆったりサイクリングをしても、1時間に500kcalを消費します。
このうち、半分の250kcalが糖質です。
したがって、1時間に250kcalを糖質から補充すれば、完全にエネルギーが枯渇することはありませんね。
ライド時間ごとの補給の目安
ライド時間と補給食の形態についてまとめた表は、以下のとおりです。
上がゆったりポタリングで、下がハードなロングライドを想定しています。
ライド時間 | 消費カロリー | 補給について |
---|---|---|
〜2時間 | 1000kcal以下 | 基本は不要。お菓子をお守りに |
2〜3時間 | 1000〜1500kcal | 固形物・ゼリーがあると安心 |
4時間〜 | 2000kcal以上 | 補給食+食事も検討 |
ライド時間 | 消費カロリー | 補給について |
---|---|---|
〜2時間 | 2000kcal前後 | 羊羹などの半固形物 |
2〜3時間 | 2000〜3000kcal | 固形物・ゼリーがあると安心 |
4時間〜 | 4000kcal以上 | 補給食+食事も取り入れる |
ゆったり、ハードのどちらでも2〜3時間以上のライドではハンガーノックを起こす可能性があります。
補給食を忘れずに携帯しましょうね。
エネルギー切れしないための注意点


ロングライドに欠かせない補給食ですが、食べ方には注意点があります。
1度に食べすぎない
一気に炭水化物を食べると、血糖値が急上昇します。
すると、血糖値を抑えるホルモンである「インスリン」が大量に分泌されます。
その結果、血糖値が正常よりも下がりすぎて、低血糖の症状を招くのです。
次の2点を意識して、補給するようにしましょう。
- こまめに食べる
- 補給の間隔を30分以上空ける
補給によって食べ物を消化するために、胃腸へとエネルギーが持っていかれます。
同じ量を補給するとしても、こまめに分けて補給することを心がけてください。
走行中以外の食事も大切に
燃やしたカロリーを、走りながらの補給はサイクリストに欠かせません。
しかし、補給では摂取できるカロリーにも限界があります。
エネルギーを体に蓄えておく意識を持って、ライドをしない日からしっかり食べておきましょう。
エネルギー量を増やす裏技!?
グリコーゲンを体に蓄えておくために、前日までの食事が大切。
大事なレースや完走が難しそうなロングライドの前には『カーボローディング』をするのも1つの手です。
- カーボローディングとは?
-
本番の3日前から炭水化物をたくさん食べ、グリコーゲンの貯蔵量を増やす食事法。
普通は400gを貯蔵していますが、480gまで増やせるようです。
3日前までは炭水化物を抜いて、直前で一気に増やす方法もあります。
しかし、肝臓への負担が大きいので、炭水化物を減らす方法は推奨しません。
カーボローディングをいきなり行うと、体調不良を起こしかねません。
やるときは、大切な日の前から何度か試しにやってみてください。
それで調子良く走れる人は、本番に向けて取り入れるといいと思います。
当日は朝食をしっかり食べる
ライド前、最後の食事となる朝食。
ここでしっかりエネルギーを蓄えなければ、ロングライドは乗り切れません。
朝食を抜いて血糖値が上がっていないと、走り出しに体が重たく感じます。
2〜3時間前には食事を終えて、消化を終わらせておきましょう。
補給食の内容


各メーカーが出している補給食には、その形態に種類があります。
形態によって消化の効率が違うので、適切なタイミングも変わってくるのです。
- カロリーメイトなどの固形物
- ウィダーなどのゼリー
- ジェル状
どのタイミングで、どれを食べるか考えておくと、補給で失敗しなくなります。
前半:固形物
走り出して1、2時間ほどはまだ体力にも余裕があり、胃腸にも消化能力が残っている状態です。
そのうちに、消費に時間をかけて、ゆっくりと血糖値を上げてくれる固形物を食べておきましょう。
中盤:ゼリーや羊羹
ライド開始後2〜3時間も走っていると、だんだん胃腸の消化が悪くなってきます。
この辺りから少しずつ、消化しやすい食べ物に変えていくと吸収がスムーズです。
終盤:ジェル
ライドも終盤、ラストスパートに向けた補給をします。
このときには体力的にもかなりキツくなり、胃腸も消化能力が下がった状態。
したがって、固形物はやめておきましょう。
ジェル状の補給食は、疲れた胃腸でも吸収しやすいように設計されています。
カフェインやミネラルを含んで、汗で流れ出た成分も補充してくれます。
ドリンクに溶かすタイプ
水に溶かしてボトルに入れておくことで、手軽にエネルギー補給できるものもあります。
早急にエネルギー補給するというより、ライドで不足していく成分を、じわじわと補充しておくイメージです。
まとめ


ロングライドを走り切るために、欠かせない補給食。
食べるタイミングについて解説してきましたが、内容をまとめると以下通りです。
- ロードバイクでは走り方によって、1時間に500〜1000kcalを消費する
- 1時間に1回補給すれば、エネルギー切れを起こさない
- 前日までと当日の朝食をしっかり食べる
- 固形物→ゼリー→ジェルの順に補給していく
せっかくのロングライドですし、行き先でランチを楽しむのも素敵ですね。
サイクリングと食事は切っても切れません。
お気に入りの補給食で、ライドに潤いを与えてみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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