『ロードバイクは筋肉が落ちる』
このような噂を耳にしたことはありませんか?
結論から言うと、ロードバイクに乗っていると、筋肉は落ちやすいです。
せっかく健康のためにサイクリングをしているのに、筋肉が落ちては困りますよね?
でも、しっかりロードバイクと筋肉の関係についての知識を持っていれば、筋肉を落とさずにサイクリングができるようになります。
- ロードバイクで筋肉が減ってしまうメカニズム
- 筋肉が減ってしまう運動強度
- サイクリングで筋肉を落とさない3つの対処法
なぜロードバイクでは筋肉が落ちるのか?
ロードバイクは有酸素運動です。
まず、有酸素運動が筋肉に与える影響を理解していきましょう。
有酸素運動では筋肉が細くなる
同じ陸上競技でも、100mの短距離選手と、マラソン選手では体格が明らかに違いますよね。
短距離選手は腕の筋肉も大きく、どちらかといえばマッチョです。
一方のマラソン選手は、心配になるほど細身。

でも、42.195kmを誰よりも速く走ることができます。
つまり有酸素運動を続けていると、それに適した細身な体格になるのです。
筋肉の種類を理解する
速筋と遅筋の特徴は、以下のように異なります。
種類 | スタミナ | 瞬発力 | 特徴 |
---|---|---|---|
速筋(タイプⅡb) | △ | ◎ | 肥大しやすい |
中間筋(タイプⅡa) | ○ | ○ | 長時間・高負荷運動に強い |
遅筋(タイプⅠ) | ◎ | △ | 肥大しづらい |
遅筋は燃費の良い繊維です。
高出力の運動は苦手ですが、長時間動くためのスタミナに優れています。
一方、速筋は一瞬の大きな力を出すのが得意で、発達すると肥大するのが特徴。
つまり、遅筋が発達して割合が増えると、大きくなりやすい速筋が減って筋肉は全体的に細くなります。
プロロードレーサーは細身が多い
過去にツールドフランスで総合優勝を争った選手たち。

体つきを見ると、細身な人が多いですよね。
おそらく、彼らは長時間、高出力を維持できる「タイプⅡb」が豊富に備わっています。
一方、スタミナが少ない速筋が少ないので、筋肥大せず細身になっていくというわけです。
有酸素運動になるかどうかはあなたのレベル次第
ではロードバイク乗っていれば、みんな同じように細くなってくのでしょうか?
それはあくまで、「有酸素運動」をしている場合です。
どう言うことか、詳しく解説していきます。
同じ負荷でも、一定の出力以上だと有酸素運動になる

上の図は運動の強度と、体の中でどんなエネルギーを使うのかを表すものです。
最大パワーの80%以上を発揮すると、無酸素運動となって乳酸が体内で作られます。
これが続くと、動き続けることができません。
逆に、それ以下ならたとえ苦しくても、動き続けることは可能です。
同じ運動内容でも、人によって負荷のかかり方が違います。
初心者ライダーが平地で35km /hを出すには、ほぼ全力でペダルを回すことになるでしょう。
しかし、プロ選手は 40km /hで平地を巡航します。
自分が持っている身体能力によって、運動強度は変わってくるのです。
つまり、運動の負荷が適切だったのか、高かったのかは、個人の能力に左右されます。
しかし主観では、有酸素運動と無酸素運動を分けることは難しいです。
そこで一般的に、運動強度の大きさは、スポーツ用のスマートウォッチで測られますね。
スマートウォッチがない場合は、筋肉痛を目安として考えてみましょう。
筋肉痛が1つの指標になる
筋肥大が起こるかどうかは、筋肉痛があるかどうかが1つの指標になります。
「筋肉痛が起こる=運動が高負荷だった」といえます。
もちろん、日常的に運動習慣のない人なら、軽い負荷でも長時間運動を行えば、遅筋が筋肉痛を起こします。
しかし、サイクリングが普段よりも筋肉に負担をかけたとなれば、多少は速筋も使っているはずです。
一概には言えませんが、筋肉痛が起きたなら、そこそこ高負荷の運動になっています。
筋肉を落とさないための対処法
ここまで説明した通り、有酸素運動であるロードバイクでは、遅筋が優位になって、見かけ上は細くなりやすいです。

ロードバイクは好きだけど、筋肉が痩せすぎるのは嫌だ!
このような人もいると思うので、ロードバイクを続けながら、筋肉を落とさない方法をお伝えします。
高負荷の運動を短時間取り入れる
トレーニングの負荷と、その効果を示す図があります。


筋肥大を起こすには、8〜12回でヘトヘトになるぐらいの運動負荷が必要です。
しかし、ロードバイクでは「いかにヘトヘトにならず、長時間動き続けるか」が追求されます。
なるべく軽い負荷で、ペダルを回し続けるのが鉄則なんです。
逆に、速筋を落とさないためには、強い負荷をかければ良いのです。
おすすめはインターバル走。
全力で走る→軽く走る→全力→軽く→…
このように繰り返し速筋に刺激を入れると、筋肉が細くなるのを予防できます。
栄養補給に気を配る


筋肉が痩せていく時は、かかった負荷に対して栄養補給が不足しているケースもあります。
体を作るタンパク質と、エネルギーになる糖質を正しく摂取して、筋肉が落ちていくのを防ぎましょう。
タンパク質の重要性
タンパク質は体の15%を構成する、3大栄養素の1つです。
筋肥大を起こすには『体重×1.4〜2.0g』のタンパク質が必要です。
そして、1度に摂取できるタンパク質は、30gまでといわれます。
3回の食事や、間食として数回に分けて摂取しましょう。
エネルギー(糖質)を不足させない
糖質は運動し続けるために、必要なエネルギー源。
エネルギー源が不足して、筋肉が減ってしまう流れは以下のようになります。
- 食べた糖質がグリコーゲンになり、筋肉や肝臓に蓄えられる
- 運動開始20分は、筋肉のグリコーゲンを使う
- 筋肉のグリコーゲンが不足してくると、肝臓の蓄えも使いはじめる
- 補給なしで動き続けると、いずれグリコーゲンが枯渇
- エネルギー不足になった身体は、筋肉を分解してエネルギーに変えようとする
長時間におよぶサイクリングでは、この流れで筋肉を落としてしまうケースが多いのです。
休息をしっかり取る


休むことも筋肉を維持するために、とても大切な要素です。
特に、睡眠をちゃんと取らないと、傷ついた筋肉を修復する能力が発揮できません。
サイクリングをした日はもちろん、日々しっかりと寝ることで、身体は修復力を最大限に発揮できます。
多くの人にとって、もっとも有効なのは7時間前後の睡眠といわれていますね。
超回復を意識的に使う
筋肉が運動によって傷つくと、身体は以前より強靭になって回復しようとします。
これが「超回復」呼ばれる現象です。


図の曲線のように、一度ダメージを受けた筋肉を回復させるには、2~3日かかります。
これより先に、負荷をかけると上を向きかけた線は、また下がってしまいます。


超回復がピークを迎えたタイミングで、再び負荷をかけるのが最適といえますね。
適度な負荷・栄養・休息で筋肉を維持しよう!
ロードバイクは長時間、軽めの負荷で動き続ける特性上、筋肉が落ちやすいです。
しっかり体型を維持しながらサイクリングを続けるためも、正しい知識を持っておきましょう。
- 有酸素運動では筋肉を分解してエネルギーにしてしまう
- サイクリングで筋肉を落とさない3つの対処法
- インターバルトレーニングをする
- タンパク質と糖質を多めに取る
- 2~3日の休息日を作る
他のスポーツと比べても、多くのカロリーを消費するロードバイク。
筋肉に与える影響も考えながら、楽しく、健康的に続けてきましょう!


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