ロードバイクを構成するパーツは多岐にわたり、その全てを一度に交換するのは予算的に難しいですよね。
そんな中、ブレーキは最優先でアップグレードすべきと言った情報を目にすることも多いと思います。
レースに出るわけじゃないけど、高性能のブレーキは必要?
ホビーライダーの自分じゃ、ブレーキ交換の効果を実感できなさそう
上位グレードのブレーキは決して安価ではないので、それなら他の機材に投資したいと感じるかもしれません。
しかし、私はブレーキ交換を優先することを強くおすすめします!
理由は以下の3つです。
- 安全性が上がる
- ロングライド・ダウンヒルのストレスが軽減する
- 他の機材より効果を実感しやすい
本記事では『ロングライド・ダウンヒルのストレスが軽減する』の理由について、深堀りしていきます。
本記事の筆者は実際に、テクトロからアルテグラにブレーキを交換し、かれこれ2年間使用しています。
また、理学療法士として5年以上の臨床経験があり、その知見もレビューに踏まえています。
ブレーキのアップグレードに意味があるのか、自分はその効果を実感できるのか、疑問に思っている人の助けになるはずです。
ブレーキのアップグレードによる恩恵

まず前提として、ブレーキにはいくつか種類があります。
- リムブレーキ
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ホイールのリム部分を挟み込んでブレーキをかけるタイプ。ママチャリなどもこのタイプです。
- ディスクブレーキ
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ホイールの中心部分に金属製のディスクが付いており、それを挟むことでブレーキを掛けるタイプ。近年、ディスクブレーキを採用した完成車は増加傾向で、制動力が高いことが特徴です。
今回ご紹介していくのは『リムブレーキ』に当たります。
なお、筆者が実際に交換したのはブレーキキャリパーだけです。
ワイヤーやブレーキレバーなどは、初期装備のティアグラのままですので、その点をご承知おきください。
①安全性の向上
ブレーキ交換で得られるメリットはもちろん制動力の向上。
制動力が低いブレーキでは、40km/hを超えるような高速域からの停車には、より長い時間と距離が必要になります。
これでは自動車や歩行者、他のサイクリストとの接触事故につながるリスクが高くなりますね。
ロードバイクは人力車ですので、速く走れるようになるとどんどん楽しくなります。
一方で、速く走ることによって事故のリスクも上がってしまうため、制動力の高さは安全に事故なく、サイクリングを続けるうえで欠かせない性能です。
②ロングライド・ダウンヒルのストレスが軽減
ブレーキは速度を落とすためのツールですから、安全性に対して目が向きやすくなります。
意外と知られていないのが、ブレーキ性能が上がることによってサイクリングが快適になるという点。
ブレーキ性能UP=快適性UP
この点については、以下の部分で深堀りしていきます。
ロングライド・ダウンヒルが楽になる理由

『ブレーキ性能が高い』というのは、50km/hから0km/hへの急停車の場面だけではありません。
50km/hから20km/hへの減速という微調整においても、ブレーキ性能は重要です。
この微調整を軽い力で出来るようになるほど、サイクリングでのストレスは軽減します。
ロードバイクで走っていれば、停車はしないけど、カーブの手前などで減速するシーンは非常に回数が多いです。
つまり、軽く握ってもホイールを止める力が十分に発揮されれば、その分のパワーを節約することに繋がります。
半分ほどの力でしっかりと止まる
いかにブレーキレバーを引いた力がホイールを止める力となってくれるかが大切であると私は考えます。
上位グレードになるほど、ホイールに伝わるパワーロスが小さいです。
全力でレバーを引いたときの制動力はもちろん大切。
一方で、50km/hから20km/hへの減速の際も、テクトロブレーキに比べてアルテグラなら半分の力で可能な体感です。
単純にサイクリングで使う握力が半分で済むので、体力の温存に役立ちます。
ブレーキは使用回数が多い
ブレーキは使用頻度が非常に高いパーツです。
急ブレーキをかけるとき以外でも、信号での停止やカーブに差し掛かる際は、前もってゆっくりとブレーキを掛けていきます。
ブレーキ性能を強く実感するシーンは大きく減速なのは間違いありません。
それでも、運動時間の長いサイクリングでは細かいストレス軽減も回数を重ねるため、恩恵を受くなります。
小さなストレス軽減が、ロングライド後の疲れを大きく変えてくれます
肩こり・頸部の痛みが軽減する
ヒルクライムの練習を何本かしたあと、肩こりや腕の疲れを感じたことはありませんか?
私はテクトロブレーキ時代、近所の坂を何本か登ったあとは脚の疲労感とともに、肩こりも感じていました。
ブレーキが効きづらく、ダウンヒルで結構な握力を使っていたので、仕方ありません。
ロードバイクに乗っているときに限らず、肩こりが生じるときは以下の要因が絡んでいます。
- 同一姿勢が長時間続く
- 前かがみ(猫背)姿勢になっている
- 頸部、肩周りの筋肉を使っている
- メンタル的に、緊張状態である
ダウンヒルでは前かがみでハンドルを持った姿勢が続き、猛スピードでのカービングが続くので、メンタルも緊張状態です。
そして、猛スピードを制御するためにブレーキを頻回かつ、強く握る必要があります。
ヒトが手先、足先で力を発揮するときは、無意識でも体の中心に近い部位を固定しようとします。
そうしないと手の位置がブレて、手で何かを握るという目的が果たせません
つまり、強い握力を発揮するためには、肘・肩・肩甲骨が動かないための筋力も、同時に発揮しているのです。
こうして上記の要因が揃ってしまうので、ダウンヒルは肩こりを引き起こしやすいと言えます。
裏を返せば、上記の要因を取り除いてしまえば、ダウンヒルで肩こりが起こりづらくなります。
ダウンヒルの特性上、姿勢を変えながら走るというのは危険です。
したがって肩こり予防には筋肉の緊張を抑えるか、メンタル的な緊張を緩和することが大切になります。
長々と語ってまいりましたが、筋肉・メンタルの両方の緊張を軽減してくれるのが、性能の良いブレーキなのです。
軽い力で十分な制動力が発揮されることで、必要な握力が少なくなります。
それに伴って、肩周りの筋肉に必要とされる力が少なくなるわけです。
そして猛スピードが出ても、しっかり止まれるという安心感は、ダウンヒルにおけるメンタル的な緊張感も軽減してくれます。
こうして、ダウンヒルによる肩こりは起こりづらくなってくれます。
アルテグラブレーキを使用して実感したこと

ブレーキの性能を上げるメリットについて、理論から解説してきました。
ここからは実際に、アルテグラブレーキを2年間使用して、実感したことを述べていきます。
結論を先の言うと、ブレーキのアップグレードは非常にコスパが良く、実感もしやすいと思います。
ダウンヒルが圧倒的に楽になった
私自身はヒルクライムを楽しむことが多く、トレーニングの際は2.5kmほどの登り坂を何本か繰り返します。
当然、登ったら降りていくのですが、林道ってカーブが多いですよね。
少し直線が続くとスピードは40km/h近くまで達し、カーブの手前で減速を試みます。
テクトロブレーキだった頃は、しっかりとブレーキレバーを引き切って減速する必要がありました。
しかし、アルテグラに変えたあとは前述の通り、半分ほどの力で同じ制動力が得られます。
さらに、猛スピードが出ても止まれるという安心感は、想像以上に恩恵が大きく、数本登りを繰り返したあとの疲労感も軽減しました。
ライド後の肩こりが軽減した

前章で説明したとおり、ブレーキ性能の向上は肩こり軽減に有効です。
この効果は、ブレーキを交換して最も実感できた部分でした。
走るモチベーションが上がる
機材のアップグレード全般で言えることかもしれませんが、見た目がかっこよくて、良いものを使っていると、見るたび使うたびにテンションが上ります。
その中でもブレーキは、アップグレードが実感しやすいと思います。
私はホイールも完成車の鉄下駄から、シマノRS81というミドルグレードのものに交換しているのですが、その恩恵はロングライドをして、ライド結果をアプリで確認する作業を何度か繰り返してやっと実感することができました。
走る速度が上がるのは、以下のように様々な要因が絡み合っています。
- 身体機能が向上した
- その日の調子がいい
- 機材の性能が向上した
つまり機材の性能を上げても、速く走れるようになったかどうかは、何回もライド結果を出してみないと分からないものです。
その点、ブレーキは感覚的にこれぐらいで止まれると身体が覚えているので、一度握ったときからその性能差が感じられました。
効果が実感できるとテンションも上がります。
そのとき、脳内ではドーパミンという報酬系の快楽物質が出ますので、その行動をもっと行うようにと促されます。
そうしてロードバイク乗るのが楽しいことだと感じるので、ロードバイクに乗るモチベーションにもなるわけです。
ブレーキは最優先でアップグレードすべき
ブレーキを交換することのメリットと、アルテグラブレーキの使用感について解説してきました。
サイクリングの安全性・快適性が向上しますし、その効果も実感しやすい機材だと思います。
安全運転を心がけている健全なサイクリストの皆さまにも、いつ急ブレーキが必要になるかわかりません。
速く走れるようになりたいという欲求もあると思いますが、事故なくロードバイクを続けるために、まずは安全性を向上させていただけると嬉しいです。
また、ブレーキ性能が向上すればダウンヒルで身体的・精神的なストレスが軽減して、快適さも十分に実感できるはず。
特にヒルクライムに積極的に取り組んでおられるサイクリストの方は、ぜひブレーキの交換を検討してみてください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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